板金塗装で利益率を改善する方法とは?

query_builder 2025/04/12
塗装
著者:有限会社浜鈑金工業所
12板金塗装 利益率

集客はできているのに売上が伸び悩んでいたり、作業を詰め込んでも手元にお金が残らない。そんな状況に、日々頭を抱えている工場経営者や現場の方は少なくありません。特に原価率や工賃設定、作業効率、塗料など材料費の見直しを後回しにしていると、知らないうちに利益を圧迫している可能性があります。

 

さらに、保険会社との取引や下請け中心の収益構造に頼りすぎると、自社で価格をコントロールする力が持てず、思うような利益率を確保できないケースも少なくありません。自動車の修理工場が生き残っていくには、明確な数値に基づいた原価把握と、工場内の作業効率改善が不可欠です。

 

最後まで読むことで、今日から取り入れられる改善のヒントがきっと見つかります。利益の見える化と経営体質の強化を目指す方は、ぜひ続きをご覧ください。

 

板金塗装のプロフェッショナルが愛車を守ります - 有限会社浜鈑金工業所

有限会社浜鈑金工業所は、車の板金塗装や整備、修理、車検を専門に手掛けるプロフェッショナルです。小さなキズやヘコミの修復から、大規模な修理まで幅広く対応いたします。最新設備と高い技術力で、お客様の愛車を丁寧に仕上げることをお約束します。特に板金塗装においては、美しい仕上がりを追求し、車両の価値を損なわないよう心掛けております。車に関するお困りごとがございましたら、ぜひ有限会社浜鈑金工業所にお任せください。迅速かつ安心できるサービスをご提供いたします。

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住所〒251-0001神奈川県藤沢市西富678
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板金塗装業界の利益率の実態とは?

業界平均の利益率と収益構造

板金塗装業における利益率は、単純に売上から原価を差し引いた差額だけでは測れない複雑さを持っています。表面的な数字だけを見ると利益が出ているように見えても、実際のところは人件費や設備維持費、光熱費といった間接的なコストが多く、思うような収益を得られていないという声も少なくありません。

 

利益率を正しく理解するためには、まず収益構造全体を把握することが欠かせません。板金塗装業では、自動車の損傷部分を修復し、再塗装を行うという一連の作業が収益の源です。この一連の工程の中には、板金作業、塗装、マスキング、研磨、乾燥、検査など、多岐にわたるプロセスが含まれます。それぞれに材料費と作業時間が発生し、その積み重ねが売上に直結します。

 

業界全体の平均的な利益率を厳密に数値化することは難しいものの、一般的には一割前後が目安とされています。利益率が一割ということは、百万円の売上に対して十万円の利益が残る計算になります。この数字を多いと見るか少ないと見るかは、経営のスタンスや工場の規模によって異なりますが、決して余裕のある水準ではありません。

 

さらに、板金塗装業は受注数によって売上が大きく変動する性質を持っており、月ごとの収支が不安定になりやすいという特徴もあります。そのため、単に利益率を上げることだけを目的とするのではなく、安定した仕事の確保や効率的な作業体制の構築が、最終的な収益向上につながります。

 

下記に、自動車板金塗装における収益構造の目安をまとめています。

 

売上構成と原価率の目安表

 

項目 内容 目安の比率
売上高 1台あたりの平均請求金額 100パーセント
材料費 塗料、マスキング材、研磨材など 15〜25パーセント
部品代 交換用パーツなど 10〜20パーセント
人件費 作業員の給与・手当 25〜30パーセント
その他原価 光熱費、修理機器の消耗品など 10〜15パーセント
粗利 原価を引いた後の利益 10〜15パーセント

 

このように、全体の中で粗利が占める割合が決して高くはないため、いかに効率よく業務を回し、無駄を削減するかが経営の鍵になります。単に料金を上げれば利益が増えるというわけではなく、顧客満足やリピート率にも影響があるため、丁寧な品質管理と価格の適正化が求められます。

 

整備・修理業のレバレートと利益率の相関

板金塗装業において、利益率を語るうえで欠かせない指標が「レバレート」です。これは時間あたりの工賃単価を意味し、作業一時間に対して請求できる金額を表しています。レバレートが高ければ高いほど、同じ作業時間でも得られる収益が大きくなります。

 

この指標は、整備業や修理業において特に重要視されており、経営の健全性を測るひとつのバロメーターとも言えます。レバレートは、地域や工場の規模、取引先の種類によって大きく変動するため、標準的な数値というのは存在しません。しかし、業界では一定の基準があり、その基準に対して自社の状況がどうかを把握しておくことが大切です。

 

作業時間とレバレートは利益に直結する関係にあります。たとえば、同じ一時間の作業であっても、レバレートが低ければ人件費を差し引いた残りが少なくなり、最終的な利益はわずかしか残りません。逆に、レバレートが高ければ、作業の質やスピードを保ったまま利益を確保することができます。

 

ここで重要になるのが、作業効率と価格設定のバランスです。レバレートを高く設定しすぎると、顧客が離れてしまうリスクもあるため、あくまで市場相場や地域性を考慮しながら、適正な金額設定を行う必要があります。また、スタッフのスキルや設備の充実度によっても、同じ作業時間内にこなせる案件数が変わるため、総合的な工場の体制づくりも求められます。

 

板金塗装の原価率の内訳!各材料比率を数字で解説

塗装業における主要な原価構成とは?

板金塗装業における原価の内訳は、事業の健全性や利益率を左右する非常に重要な要素です。日々の作業にかかるコストを正確に把握することは、経営改善や価格設定の基礎となります。一般的に、板金塗装工場の原価は大きく三つのカテゴリに分けられます。それは人件費、材料費、設備費です。

 

まず、人件費は板金塗装業において最大の支出項目です。これは直接作業にあたるスタッフの給与だけでなく、保険料や手当なども含まれます。特に熟練した技術者を確保するためには、一定以上の待遇が必要となり、これが利益率を押し下げる要因にもなり得ます。

 

材料費ですが、これは主に塗料、マスキング資材、研磨材、パテ、シーラーなどの使用量によって決まります。材料の品質にこだわる工場ほど仕入れコストは高くなりがちですが、仕上がりの精度や顧客満足度といった長期的な評価に繋がるため、単純なコスト削減の対象とはなりません。

 

最後に設備費です。これはスプレーブース、乾燥装置、エアコンプレッサーなどの大型機器にかかる減価償却費や保守点検費用などを含みます。規模が大きな工場ほど設備にかけるコストが増えるため、同業他社との比較ではこの部分が差となって表れます。設備の老朽化に伴う維持費の増加や突発的な修理費用も原価に含まれることを意識しておく必要があります。

 

以下は板金塗装業における原価構成の目安です。

 

原価構成比の目安(小規模〜中規模工場)

 

原価項目 内容 比率の目安
人件費 職人の給与、社会保険、手当など 35から45パーセント
材料費 塗料、研磨材、パテ、シーラー、マスキングなど 20から30パーセント
設備費 機械の減価償却費、保守点検、消耗品など 10から20パーセント
間接経費 電気代、水道代、事務費など 10から15パーセント

 

このように見ていくと、どの項目も削減の余地がありそうに見えますが、過度なコストカットは品質やスタッフの満足度低下につながる可能性があるため、注意が必要です。特に材料のグレードを下げてしまうと、仕上がりに対するクレームやリピート率の低下を招く恐れがあり、長期的には逆効果になることもあります。

 

また、原価率は工場の規模や業務内容によっても変化します。小規模な修理工場では、設備費の比率が低く、材料費の比率が高くなる傾向があります。一方で、大型の工場では人件費や設備維持費が重くのしかかり、収益の構造自体が異なってきます。したがって、経営戦略を立てる際には、自社の規模や受注スタイルに合わせた原価管理が求められます。

 

塗料やパーツの仕入れ価格の動向

塗装業における原価管理を語る上で避けて通れないのが、塗料やパーツの仕入れ価格の問題です。近年、自動車塗装業界では塗料の価格が徐々に上昇しており、利益率を圧迫する要因の一つとして深刻に受け止められています。この背景には、原材料の輸入価格変動や環境対応型塗料への切り替えといった外部要因が影響しています。

 

特に水性塗料や低VOC塗料など、環境配慮型の製品は従来の溶剤系塗料に比べて単価が高く、使用量や希釈率も異なるため、従来の材料コスト感覚では収益計画にズレが生じやすくなります。また、塗料メーカーによっても価格や性能に違いがあり、選択によっては同じ仕上がりを得るためにコストが大きく変動することも珍しくありません。

 

塗料の価格だけでなく、交換部品や補修用パーツの仕入れ価格もまた、業界全体にとって重要な関心事項です。純正部品、OEM部品、再生部品の選択によって価格は大きく異なり、どの部品を採用するかは利益率に直結します。特に保険修理の場合、保険会社の査定基準により部品代が制限されることがあり、現場では選定の自由度が低くなるケースもあります。

 

下記に、塗料とパーツ仕入れにおける項目ごとの比較を整理しています。

 

塗料とパーツ仕入れにおける価格と選定の特徴

 

項目 選定の種類 特徴 価格帯傾向
塗料 溶剤系、水性、低VOC 環境性能、耐久性、作業性に差がある 水性の方が高価傾向
マスキング材 汎用品、ブランド品 安定性や粘着力で差が出る ブランド品は高価
パーツ類 純正、OEM、再生 品質・保証の違いが大きく、対応が必要 純正が最も高価傾向

 

さらに、仕入れ価格の交渉についても触れておく必要があります。塗料や部品の仕入れ価格は、業者との関係性や取引実績、年間仕入れ量などによって変動します。安定的な取引先との長期的な関係を築くことで、一定の価格交渉が可能になることもあります。また、地域によっては協同組合や業界団体が提供する共同購入制度を利用することで、仕入れ価格を抑えることも検討できます。

 

塗料とパーツの選定・仕入れは、単なるコストの問題ではなく、品質や納期、作業効率にも直結します。そのため、価格のみに着目するのではなく、仕上がりや安全性、長期的な顧客満足に与える影響も考慮する必要があります。

 

赤字の板金塗装工場の特徴と原因

集客不足と価格競争による利益圧迫

板金塗装業における赤字経営の原因として最も多く見られるのが、十分な集客ができていないことと、無理な価格競争による利益率の低下です。経営者が最初に直面する課題の多くは集客に関するものであり、これはホームページや口コミ、地域内の紹介ネットワークなど、複数のチャネルを整備できていないことが根本的な原因となっています。

 

集客が思うようにできていない工場では、特に新規顧客の獲得に苦戦しています。これは、多くの場合ウェブ上の情報が古かったり、そもそもオンライン対策がされていなかったりするケースです。板金塗装という業種は専門性が高いため、ユーザーの立場からは価格の相場や品質の良し悪しが判断しづらく、信頼性の高い情報発信がされていない店舗は選ばれにくくなる傾向があります。

 

また、地域に複数の板金塗装業者が存在する場合には、価格による競争に巻き込まれることも少なくありません。特にネット見積や一括査定サイトを利用した見積依頼が増えたことで、工場側が価格を下げざるを得ない場面も増えてきています。これにより、工賃や塗料費などにかかる原価を十分にカバーできず、赤字を出す要因になります。

 

 

こうした集客不足と価格競争のダブルパンチにより、売上は横ばいまたは減少傾向であるにもかかわらず、作業は増え、スタッフへの負荷は高まり、結果として人件費は増大します。利益が確保できないばかりか、従業員の離職が増え、技術の維持が難しくなるという悪循環に陥ることもあります。

 

加えて、集客が安定していないと経営者は無理に仕事を詰め込みがちになります。短納期での対応が増えれば、それに伴う品質低下や作業ミス、クレームの増加も避けられず、再作業が発生することでさらなるコスト負担が発生します。このようなサイクルは、事業の持続性を危うくします。

 

集客の仕組みを確立できている工場では、ホームページに施工事例や料金目安、対応の流れなどを掲載し、ユーザーに安心感を与えています。口コミ投稿への返信やSNS活用なども取り入れ、定期的に情報発信を行うことで地域内での認知度を高めています。赤字工場からの脱却には、価格だけに頼らない付加価値の創出と、継続的な顧客との関係づくりが不可欠です。

 

損保依存体質と下請け構造のリスク

板金塗装工場の中には、収益の多くを損害保険会社からの保険修理案件に依存しているところも多くあります。こうした損保依存型の経営スタイルには一定のメリットもありますが、利益率という視点から見たときには、長期的に見ると大きなリスクをはらんでいます。

 

損保案件は、一見すると安定した受注源であり、月々の仕事量を確保する手段の一つと捉えられがちです。しかし、問題はその工賃設定です。保険会社が定める工賃単価は、実際の作業時間や材料費を十分に反映していない場合が多く、利益が出にくい構造になっています。特に見積基準や作業の認定条件が厳しくなっており、適正な料金が通らないことも少なくありません。

 

また、損保依存体質にある工場は、価格主導権を持てないという点も大きな弱点です。仕事を出してもらっている立場という関係性の中で、工数の調整や価格交渉がしづらくなり、結果として薄利のまま多忙な作業に追われる形になります。これが、収益性の低下と作業負担の増加につながり、現場の疲弊を招く要因になります。

 

下請け構造の問題も同様です。ディーラーや大型整備会社の下請けとして稼働している場合、元請け側から提示される単価で仕事を請けることがほとんどで、原価割れに近い作業も発生しがちです。元請け企業に依存している状態では、急な価格改定や取引条件の変更に対しても交渉力を持てず、自社の収益モデルをコントロールすることが難しくなります。

 

以下に、損保依存型および下請け型経営における特徴とリスクを比較表で整理しました。

 

損保依存・下請け構造の特徴比較表

 

項目 損保依存型の特徴 下請け構造の特徴
価格設定 保険会社主導で工賃が固定 元請けからの指定価格で決まる
作業裁量 見積項目に制限あり、作業内容の自由度が低い 指定された作業のみ、融通が利かない
利益率 工賃が安く、材料費も制限され利益が低い 工数が多く、単価が低いため利益が出にくい
取引継続の条件 査定の精度、納期、対応力などが重要視される 信頼関係と価格競争力が重要視される

 

このように、いずれのスタイルも安定した受注にはつながる一方で、価格主導権がないことから利益の確保が難しいという共通の課題を抱えています。加えて、こうした構造に依存していると、新たな取引先開拓や元請け転換といった経営戦略の自由度が低くなり、事業の将来性を自ら制限してしまうことにもつながります。

 

今後の板金塗装業界は、ただ修理をこなすだけではなく、いかに「収益性の高い仕事を自ら作り出すか」が問われる時代です。元請け比率を高め、自社で価格設定ができる直販型のビジネスモデルへ移行していくことで、利益率の向上と経営安定が見込めます。

 

自社の方向性を再確認し、どの案件が利益を生み、どの案件が経営を圧迫しているのかを正確に把握することで、赤字体質からの脱却が可能になります。これからの時代、板金塗装工場に求められるのは「選ばれる工場」であるための体制づくりです。利益が出る仕事に集中する姿勢と、依存から自立への転換が、経営の未来を左右する鍵となります。

 

利益率を高める改善ポイント!

作業効率アップによる利益率改善策

板金塗装業で安定的な利益を出すためには、作業効率の改善が欠かせません。人件費が高まる中、限られた人員で高い生産性を実現することは、利益率を左右する重要な鍵となります。作業効率の悪さは時間の無駄だけでなく、納期遅延や品質低下にもつながるため、早急な対策が求められています。

 

まず注目したいのは、工場内の動線設計です。作業工程の順序が最適化されていなかったり、必要な道具や材料が散在していたりすると、作業者の移動が増え、その分の無駄な時間が発生します。たとえば塗装ブースと乾燥エリアが離れている場合、毎回の移動時間が積み重なり、一日の工数に大きな差を生み出します。

 

こうした課題に対し、導線改善を実施した工場では、作業の移動距離を短縮し、段取りのミスが減少したことで一日の作業台数が増え、結果として利益率が向上した事例もあります。小さなレイアウト変更でも、積み重ねによる改善効果は侮れません。

 

また、設備導入による自動化や効率化も利益率改善に直結します。近年は乾燥ブースや赤外線ヒーターなど、省エネ性能の高い設備が登場し、従来より短時間で仕上げが可能となりました。これにより作業スピードが向上し、1台あたりにかける時間を短縮できるため、売上に対する利益率が高まります。

 

さらに、スケジュールの見直しも重要です。予定の重複や抜け漏れが多発する工場では、作業の遅延や再調整が日常的に発生し、余分な人件費や顧客からの信用低下につながります。そこで、スケジュール管理をデジタルツールで一元化し、作業者全員がリアルタイムで情報を共有できるようにしたことで、予定の混乱が減少し、時間単価あたりの作業効率が大幅に改善された事例もあります。

 

以下は、利益率改善に有効とされる作業効率対策の一覧です。

 

利益率を改善するための作業効率アップ施策

 

改善ポイント 対策内容 期待される効果
工場レイアウト最適化 作業導線の短縮、設備配置の見直し 移動時間削減、作業時間短縮
設備の更新 乾燥ブース、ヒーター、エアツールなどの導入 作業スピード向上、エネルギー効率改善
作業標準化 マニュアルの整備、技術の平準化 品質の安定、属人化リスクの軽減
スケジュール管理 デジタルツール導入、作業予定の可視化 納期遅延防止、余剰コストの削減

 

作業効率を高めることで、1台あたりの処理時間が短縮され、同じ時間内に対応できる車両数が増えるため、売上も自然と伸びます。同時に、時間に余裕が生まれることで品質向上や顧客対応にも手が回るようになり、リピート率の向上や口コミでの集客増加にもつながります。

 

適正な価格設定と交渉力の強化

利益率の改善には、作業効率だけでなく「価格設定」の見直しも極めて重要な要素です。多くの板金塗装業者が抱える悩みの一つに、「価格を上げたいが、顧客離れが怖い」というものがあります。ここで大切なのは、ただ単に値上げをするのではなく、価格に見合った価値を顧客に提示することです。

 

まず見直すべきは、自社の価格が市場と比較してどの位置にあるかを把握することです。地域の相場、サービス内容、対応の丁寧さ、仕上がりの品質などを総合的に考慮した上で、自社の強みを生かした価格設定が必要です。価格だけで選ばれる時代は終わり、今は「価値のある選択肢」として選ばれることが重要となっています。

 

そのためには、顧客に納得してもらえるだけの説明力も必要です。たとえば、安さを強調するのではなく、塗料の品質や修理の精度、安全性の確保といった視点から、価格の根拠を丁寧に伝えることで、納得度の高い受注が可能となります。

 

また、見積もり時点での交渉力も問われます。見積内容が曖昧であれば、後からの追加請求や顧客とのトラブルが発生しやすくなり、結果的に信頼を損ねてしまうリスクがあります。そのため、最初から詳細な作業工程を提示し、必要な費用と工数を明確にすることで、価格の信頼性を高めることができます。

 

以下に、価格設定と交渉で意識すべきポイントをまとめました。

 

価格戦略と交渉における実践ポイント

 

項目 具体的な対応内容 効果
相場の把握 地域の板金塗装価格や他社サービスとの比較調査 適正価格帯の確認、差別化のヒント取得
付加価値の提示 塗料の安全性、仕上がり保証、対応スピードなどの強調 安さ以外の選択理由を提供
見積書の透明化 工賃、材料費、工数を明記し、追加費用の可能性も記載 トラブル回避、信頼性向上
説明力の強化 口頭・資料での価格説明方法の統一と研修 顧客満足度の向上、価格への納得感向上

 

安く見せることよりも、適正な価格で高い満足度を提供する姿勢が、長期的に見て顧客の信頼を得る要素となります。価格を武器にしない収益構造を築くことで、競合他社との差別化が実現し、安定した利益率を確保できる体質に変わっていきます。

 

原価管理ツールと数値可視化の導入

板金塗装工場の経営において、利益率を高めるには「現場の感覚」だけに頼らず、数値に基づく原価管理が求められます。原価の見える化を進めることで、どこで利益が生まれ、どこで無駄が発生しているのかを正確に把握し、改善につなげることができます。

 

そのために有効なのが、原価管理ツールの活用です。多くの中小規模の工場では、日報やホワイトボードによるアナログ管理がいまだに主流ですが、これではリアルタイムの状況把握が難しく、意思決定のスピードが遅れがちです。そこで、エクセルや業務管理ソフトを導入し、日々の作業内容とコストを数値で把握する体制が重要になります。

 

例えば、車両1台あたりにかかる塗料費、部品代、作業時間、人件費を項目別に入力していくことで、1台単位での粗利を即座に確認できるようになります。これにより、赤字案件の早期発見や、利益率が高い作業への注力が可能となります。

 

また、原価データを定期的にグラフやテーブルで可視化することも有効です。月次レベルで利益率の推移を確認すれば、経営改善の成果が数値として見えるため、スタッフのモチベーション向上にもつながります。

 

以下は、原価管理に活用できるツールとその特徴です。

 

原価管理に役立つ代表的ツール

 

ツール名称 機能内容 特徴
エクセル 原価表・見積テンプレート作成 初期費用不要、柔軟性が高い
業務管理ソフト 工数入力、在庫管理、売上集計、利益計算 自動計算、リアルタイム連携
クラウド型アプリ モバイル連携、複数拠点対応 拠点統一管理、データ保存が安全
BIツール グラフ化、データ分析、自動レポート作成 経営判断の精度が上がる

 

特に人件費や作業時間が利益を大きく左右する板金塗装業では、「どの作業に何分かかり、いくらの原価が発生したのか」を把握するだけでも、経営の精度は格段に上がります。スタッフごとの作業効率も数値化すれば、教育や人材配置にも役立ちます。

 

数値の可視化は、経営者だけでなく従業員にも現状を理解させる材料になります。見えない問題を見える形に変えることが、利益率改善の第一歩であり、安定経営への近道です。適切な原価管理ツールを導入し、業務の実態を数値で把握できる体制づくりを進めていくことが、今後の経営において欠かせない施策となります。

 

まとめ

板金塗装業の利益率を向上させるためには、感覚に頼った経営から脱却し、数値に基づいた改善が必要不可欠です。工場の動線や作業効率の見直し、設備の導入による工数削減など、現場の負担を減らしながら利益を生み出す仕組みづくりが重要です。作業時間を明確にし、ムダな動きを減らすだけでも、1台あたりの収益は確実に改善されていきます。

 

また、適正な価格設定も利益を左右する大きな要素です。周囲と比較して安さを追求するだけでは、原価割れのリスクが常につきまといます。塗料の品質や仕上がりの精度、スピード対応といった自社の強みを理解した上で、価値に見合った料金を提示する交渉力が求められます。見積もりや説明の透明性も、信頼獲得に直結するポイントです。

 

さらに、原価管理のデジタル化によって、リアルタイムで利益の把握と改善ができる体制を整えることも、経営の強化につながります。エクセルや業務ソフトを活用して、塗料や人件費、工賃などを可視化すれば、無駄なコストに気づき、利益を圧迫している要因を特定できます。月次でのデータ分析は、経営判断の裏付けとしても非常に有効です。

 

今のまま価格競争に巻き込まれたり、損保依存のままで収益改善を後回しにしていると、想定外の赤字や人材流出など、長期的な損失に発展しかねません。この記事で紹介した対策は、いずれもすぐに始められる現実的な改善策ばかりです。

 

利益が見える経営体質をつくるために、できることから一つずつ取り組んでいきましょう。数字に基づいた判断と、現場の工夫が合わされば、板金塗装業でも十分な収益性と安定した未来を築くことが可能です。

 

板金塗装のプロフェッショナルが愛車を守ります - 有限会社浜鈑金工業所

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よくある質問

Q. 板金塗装の利益率を上げるには具体的に何から始めればいいですか
A. 利益率を上げるためには、まず原価率の見直しが最優先です。とくに塗料の仕入れ価格や作業時間あたりの人件費を細かく把握し、作業効率を改善することが効果的です。たとえば動線を見直すだけで、1日あたりの作業台数が増えた工場もあります。また、作業ごとの工数や単価を記録し、月ごとに数値で「利益の出やすい作業」と「時間がかかるが収益性が低い作業」を分析することも重要です。整備や塗装などの工程ごとに利益率を可視化することで、無駄な時間とコストの削減に繋がります。

 

Q. 板金塗装の工場で赤字になる原因は何ですか
A. もっとも多い原因は、損保依存や下請け構造による工賃の低さと、集客不足です。とくに損害保険会社の工賃基準で作業を行っている工場では、作業量が多くても利益率が低くなりがちです。加えてホームページや口コミなどのWeb集客に取り組めていない場合、新規顧客の獲得が難しくなります。作業効率が悪く、時間あたりの工賃単価が低いままだと、従業員を増やしても利益が出ない構造になってしまいます。収益モデルの見直しが急務です。

 

会社概要

会社名・・・有限会社浜鈑金工業所

所在地・・・〒251-0001 神奈川県藤沢市西富678

電話番号・・・0466-23-0473


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有限会社 浜鈑金工業所

住所:神奈川県藤沢市西富678

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